二階堂和美 nikaido kazumi

diary

2019.05.27

『二階堂和美と渋谷毅』

今はすっかり手ぶらで歌うことが多くなったが、学生時代にやっていたバンドが崩壊して一人で活動を始めた1997年から2008年頃まで、主にアコースティックギターを抱えて歌っていた。ソロなのをいいことにいろんなジャンルのいろんな方と一緒に演奏した。自分の持ち曲も抽象的なものが多かったので、むしろそうやって色を変えてもらうことを楽しんでいた。
その中でも多くのライブをともにしていたのが渋谷毅さんだ。ほかの共演者と比べると圧倒的に先輩。とある方に紹介され、私は当時自分の最新作であった2001年リリースの『たねⅠ』というミニアルバムを自己紹介がてらお渡しした。それから何年か経って、まるで昨日のことのように「CD聴きました。おもしろかったです。ご一緒できるといいですね」といった旨のメールをいただいた。そのひょうひょうとした感じこそが渋谷さんだ。
2005~08年頃、お互いに呼び合いあちこちでご一緒した。それなのに一緒に曲を作る、ということをしていなかった。『二階堂和美のアルバム』や『ハミング・スイッチ』などのアルバムで演奏いただいた曲はあるけれど、ゼロから一緒に作った曲がない。そのうちに、とか思っているうちに時が経った。

今年は1stアルバムを出してから20年という節目の年でもある。今、なにかやるとしたらもうこれしかない。けれど基本的に受け身な二人。思いはあれど他のことが毎日を埋めつくして後回し。じゃあ毎日の中に強制的に組み込もう。ということで先にライブを組んだ。それが今回の公演だ。

『にじみ』の時にもリリースの前年「アルバム着手記念ライブ」というのをした。こういうことをしないと腰が上がらない。渋谷さんは別に新しい曲を作ることにはこだわっていないかもしれない。でも以前言われたことが気にかかっている。「もっと二階堂さんに合いそうな曲がありそうなんだけど」と。それってどんな曲なんだろう?渋谷さんはそう感じてくれたことさえきっと覚えていない。でもそれが知りたい。

二階堂和美