二階堂和美 nikaido kazumi

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つれづれにか vol.41

掲載:QUATTRO PRESS vol.87 / PARCO-CITY FLYER 2009 July

イギリス/スコットランド ツアー 2006 日記 その15

4月22日(18日目)
朝早く目が覚めたので、抜けていた日記を書く。Wickから移動、本土最北端のJohn O’ Groatsという岬で出航までの時間を過ごす。羊のぬいぐるみを迷った末買う。人恋しさか。そういえば幼い頃ぬいぐるみに情を移しすぎていたことを思い出す。その感覚が突如よみがえる。
Q41orkneyislands.jpgいよいよ本土最北端からさらに北へはみ出す旅路。このツアーの千秋楽でもある。orkney諸島への船。船の中でスープを食べるがコンビーフのような味でおいしくなかった。そのままレストランのテーブルで伏せ寝。さやも。寝てる私の横にBillがずっと居た。なんとなくすべてがぼんやりとしている。童話の中にいるのを外界から見ているような感じ。
ずいぶん北なので覚悟していたが島は案外寒くなく、雪もなく、島と島とを渡す道が瀬戸内海のしまなみ海道を思わせ、なんとなく身近な感じのするのどかなところ。しかし本当に田舎。原っぱの中を道が走る。よく道を作ったものだ、と思う。
ホテル着。外観はボロ屋だが、よい雰囲気のホテル。ホテルの一室がライブ会場。PAも既に用意してくれていて、スペースは狭かったが、よい雰囲気でやりやすかった。リハの時、ビルに「レールのその向こう」を一緒にやろうと誘い、合わせていたら客席でカトリーナがマル島で買った玉子型シェーカーを振ってくれていて、「やってくれる?」と尋ねたら快く引き受けてくれて嬉しかった。
ライブ前に夕食を用意してくれたがあまり入らず。選曲悩んで、でも結果よかった。ツアー最終日であることなどもMCでTalkしつつ。最後の「一年生」はとても声がよく出て、一番気持ちよかった。ラッパ声もうまくいった。最後のBillの時は、このツアー通して全員でやってきたが、これが最後、みたいな気負いを持っている人は一人もいない感じ。終演後、物販のところにいたら、10歳くらいの男の子2人が私のアメリカツアーのBOXsetを親にせがみ、買っていってくれた。彼らに楽しんでもらえるものかどうか、売っていいのかと躊躇するが、にしても、すごいことだと思う。何が彼らの興味をひいたのだろうか。
軽く打ち上げ。メンバーと雑談。宿泊しているところとライブの会場が同じ建物なので、移動がなくみんなのんびりしている。もちろんこのツアーが終わったという安堵感も。
星がすごくきれいだった。ゴミみたいにたくさんあって、まんべんなくて、かえって、きれいなのかわからないくらい、近かった。

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