二階堂和美 nikaido kazumi

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つれづれにか vol.34

掲載:QUATTRO PRESS vol.80 / PARCO-CITY FLYER 2008 December

イギリス/スコットランド ツアー 2006 日記 その8


4月14日(10日目)
 今はテニスの本番中。グリーンスリーブスを歌っている。今日は即興を主にやった。サッチモ声の出番はなかった。礼子さんとの声のハーモニーはとてもうまくいったと思う。リハ中にたまたま思いついて、思い切って頼んでよかった。偶然というのはこういうものだ。ラの音をロングトーンで歌ったもらった。私のリハ中に誰かがどこかで出していた音がちょうど合っていて、それを礼子さんにやってもらった。せっかくみんなで一緒のツアーなのだし、いろいろ挑戦しようと思う。外国は試しでいいのだ。
 今日はカトリーナと相部屋だ。かなり緊張しそうだな。家みたいな宿屋。姉妹になった気分。いったん夕方部屋に行って、二人で歩いて会場に戻る時、カトリーナが自分の姉妹の話をしてくれた。私にも何かないかと言われたけど思い浮かばず自己嫌悪。なにか話して、と言われるのは日本語同士でもものすごく苦手。頭が真っ白になる。そういうのが、面白いか面白くないかは別としてぱっと出てくる人を尊敬する。
Mull マル島は良いところだ。来るフェリーではカモメを撮った。野放しの羊。枯れ色の山。針葉樹。雪山。海岸線はすこし日本。これはフェリーに乗る前の話。宿屋の前は港町。旅行に来たいような島。水辺のヨットと立ち並ぶ建物とがレゴブロックみたいに色とりどりで明るい印象。絵はがきはやはり、自分が行ったところ、思い入れが生まれないと意味がないものですね。逆にそれを伝えたい意味で出すものなのですね。白ワインをたくさん飲んでいます。
 行く先々で、自分たちのポスターやフライヤー、ライブハウスの冊子にピックアップされているのを見るのが楽しみになってきた。工藤さんか、なぜかにかさやの写真が載ってることが多い。青柳さんが、次の街アバディーンでは順番変わろうか、と言ってくれたが大丈夫ですよ、と。トップバッターももう慣れた。

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