つれづれにか vol.6
掲載:QUATTRO PRESS vol.53
4月は3週間、英国人ピアニスト、ビル・ウェルズと共に、日本からマヘル・シャラル・ハッシュ・バズ、テニスコーツ、カーマアイナ、二階堂和美、と5組でスコットランドをツアーして回った。ライブは全部で9回、最初の一回をロンドンでやったのちは、ともかく北へ北へ。
スコットランド自体、英国の北の方であるのにさらにその中を西に東にぶつかりながら、時にはみ出しながら北上していく旅。グラスゴー近辺の3箇所やアバディーンなどはまだ都会だったが、本土の北の果てをさらに超えたオークニー諸島や、片道3時間もフェリーに揺られて辿り着くストーノウェイなどの島々、「こんなところで…?」とあっけにとられるような地を辿っていくのだったが、着いてみれば施設は上等、さすが芸術にお金をかけてるヨーロッパ。そんな最果てを巡る旅も、私にとってはこれまでにない快適で心休まる旅だった。今回は海外に慣れておられる日本人アーティストの方々と一緒なので英語に囲まれる不安もない。全日程ホテル泊、しかも常にアーティストごとの別部屋。車は11人乗りのベンツで、ビジネスクラス並の幅広革張シートにテレビ・ビデオ・DVDまでついている豪華バス。それを運転してくれるのはプロのドライバー、ジョン。荷運びから何から常に助けてくれる。どうしてこんなところに私が紛れ込んでいるんだっけと不思議になるほどの好待遇。
このツアーに来る前日まで、アルバムのレコーディングをはじめ本当に忙しくて気が張りっぱなしだった。地平線水平線を見つめながら、慰安旅行、と思った。企画してくれたビルに感謝。