二階堂和美 nikaido kazumi

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つれづれにか vol.19

掲載:QUATTRO PRESS vol.65 / PARCO-CITY FLYER 2007 September

 うちは中国新聞という、中国地方で圧倒的なシェアを誇るローカル新聞をとっているが、最近4コママンガが、「ちびまる子ちゃん」になった。中国新聞だけではなく全国各地の9紙にて連載が始まった模様。「ちびまる子ちゃん」といえば、高校に電車通学をしていた十数年昔、友達に借りた単行本を電車の中でひとり、腹がよじれるほど可笑しいのを必死でこらえながらも読み続けられずにはおれなかった、あのマンガ。とはいえテレビアニメが始まって、すっかり変わり果てた「ちびまる子ちゃん」は、もはや私が腹をよじらせたそれとは全く別物だったので、この度の連載もあまり期待はしていなかったのだが、始まってみると、やはりおもしろい。
 新聞の4コマというのは、たいしておもしろくなくても、まあ一応読む、といった、学校の教科でいう図画工作、体育、的な位置にあるものだが、東京に住んでいた頃にとっていた読売新聞の「コボちゃん」など、まあ一応読む、のレベルではなく、毎日毎日、頭が下がる思いがしていた。ちびまる子ちゃんはセリフの文字が異様に太いのには違和感があるものの、やはり作家直筆の描画は特別なのだ。逆にアニメ版がいかに別物であったかという裏付けもとれた思いがして嬉しくなった。静止画でこその表情の際立ち。笑いの隙間。特に口の開き具合。これが絶妙なとき、ちゃんと笑える。位置、大きさ、角度、線の強弱、そうしたコンマ何ミリの違いで、そこに含まれる笑いの振幅まで変わってくる。シンプルなものほど、ごまかしがきかない。これは私が普段やっている弾き語りのライブでもそう。きっと料理もそう。な~んでもそうと思う。今回さくらももこさんの新聞4コマ開始にその心意気を見た気がして慕う気持ちがわいた。
 ただ、新聞4コマで、第何回というナンバーがないのは、広告ページのマンガみたいでちょっと気持ち悪いです。
ちびまる子

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