二階堂和美 nikaido kazumi

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2009.06.18

母の友7月号

母の友0907.jpgなんと、56年も続いている月刊誌「母の友」(福音館書店)。
その「母の友」の巻頭シリーズ「わたしの好きな絵本」というページで、絵本を2冊、紹介させていただきました。

ご依頼のお話いただいて、自分が昔どんな絵本が好きだったのか、急には思い出せず、いろんな記憶の引き出しを開けていく行程がなかなかによい時間で、よい機会でした。一冊はほんとに子どもの頃好きだった、あまりに王道の大先生の作品ですが、今改めて見返して、かなり影響を受けたんだな、と思う。どういうところか?とりあえずキャラが笑ってるところとか、説明したい、描きたいところだけに的を絞ってかいてるところとか、どことなくどんくさそうなところとか。知らず知らずのうち、自分もその方向性で学校の課題の絵を描いてきた気がします。どんくさいところとか、おじいさんとかおばあさんとかの出演の仕方が、なにが悲しいわけでもないのに、たまらず胸を締め付けて同情していたのを思い出す。編集者の方によると、驚いたことにこちらの大先生は現在もなお現役でこのシリーズ、執筆されているのです!最新作のお相手は”やまんめちゃん”(あふりらんぽのピカチュウにどことなく似てる)。
もう一冊は、このお話が来てからインタビューが行われる間に出会った本。オートマタ作家、二象舎の原田君に教わったんだけども、ものづくりに携わる者には心にズキュンとくる作品。ゴールディという人形作家の女の人の話で、両親のあとを継ぎつつやっているんですが、どこか両親のやり方に疑問を持っていたり、その制作人生の厳しさとか優しさとか喜びとか孤独感とか・・・もう共感せずにはいられない驚愕の一冊。
いやー。どちらも絵がいい。絵本なんだから当たり前、と言われるかもしれないけれど、ストーリーがいいだけじゃだめ、絵がいいだけでもだめ、このバランスでなくてはならない、というツボがあるんですねー。シンプルなだけに、作家とピタッと同じ気持ちになれる気がしてキュウーーっとなります。どちらも読後にものすごく遠いところへ旅してきたような余韻が残ります。

「母の友」は主に定期購読される方が主流なのかもしれなく、書店には置いてない場合もあるかと思います。保育所とか幼稚園とかにはあるのではないかな。わたしは自分の子どもはいませんが、甥と姪が近くにいて毎日のように接しているので、子どもとか子育てとかはとても身近に感じていて、この本、とても心に沁みました。最初は、子育てアドバイス本ってどうもなあ、という偏見があったのですが、子育てに限らず参考になりました。地味で、全然おしゃれではないけれど、そこに共感がもてます。はあ~ その誠意にため息が出ます。
是非どこかでお手にとって見てください。

このインタビューは、3月終わりの東京にて。世田谷にあるカフェニコ。