『たねⅠ』へ、岡村詩野さんからいただいたコメント

一つ前の記事で触れました(こちら)、
『たねⅠ』CDリリース当時の2001年(11年前・・・)、フライヤーのためにライターの岡村詩野さんがしたためてくださったライナーノーツが、このたびのアナログ・エディション発売を記念して、ディスクユニオンのサイトでアップされました。
下記にも掲載させていただきます!

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 天使に出会ったようだった。
 二階堂和美を初めて見たのは、昨年5月、吉祥寺にある小さなライブ・ハウスでのことだった。ステージにあがってきた彼女は、体を丸めるように椅子に座り、半笑いを浮かべながら、おもむろに歌い始めたのだ。そして、そこから聞こえてきた歌は......そう、天使の声のようだった。
 一般的な天使のイメージがどういうものかなんて知らない。興味がない。けれど、顔をクシャクシャにしながら、時折うすら笑いでシャクりあげながら、猫背気味にマイクに向かって声を発する二階堂和美の姿は紛れもなく天使そのものだった。その歌声は、聴く人を幸せにするエンジェリン・ヴォイスだった。だって彼女の歌を聴いたその日1日、私はすごうくハッピーだったんだもの。その日から今日まで私はハッピーだったんだもの。
 あれから1年半、久々に再会した二階堂和美はやっぱり天使だった。ふわふわと空を自由に飛び回り、ゆらゆらと雲の合間をたなびく気ままなエンジェル。いや、最初は少し驚いたのだ。デヴィッド・グラブスの来日公演の会場で"あれからCD作ったんです"と言って手渡してくれたもの――それがこの『たねⅠ』だったのだけど、そこにはたった1年ちょっとで驚くほど成長した彼女がいた。しっかりと自分の足元を見つめ、そして次に天を見上げて飛び立とうとする凛とした彼女がいた。けれど、その顔は、やっぱりあのクシャクシャの笑顔でいっぱいだった。ヘラヘラとうすら笑いを浮かべていたのだ。そして、私はやっぱりハッピーになった。
 あの日、あの時、誰かが彼女の歌声を聴いてこんなことを言ってたっけ。"ブルーズだ!"。そう、ブルーズとは天使の歌声そのものだ。そして、天使の歌声とはブルーズそのものでもある。ヴィム・ヴェンダースの『ベルリン天使の詩』は私たちにそうおしえてくれたじゃないか。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のビョークもそうだった。そして今、二階堂和美は歌う、歌う、歌う。笑う、笑う、笑う。
 そう、天使はここにいる。

2001年9月  

二階堂和美に愛と笑顔をこめて――岡村詩野

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その後岡村さんとは、リリースごとにどこかで必ずお話させてもらっています。
ネット上で見られるのはこちら「e-days」、2008年時のもの(全3ページ)。
『にじみ』の際には、「ミュージック・マガジン」(2011.8)、「FUDGE」(2011.8)でロングインタビューを掲載くださったり、フカミマドカさんとのラジオ番組「nishiazabu record store」にも出演させてもらいました。そのフカミさんにも、当時コメントいただいてたんでした!それも掲載させていただきます。

岡村さん、フカミさん、ありがとうございました!

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こうして彼女の紹介をできるってことはホントに光栄。
彼女はボクにとって唯一無二の存在なのです。彼女の歌世界、歌声、空気感、
そういったもの全てがどこにもなかったものなのですよ。
そんな彼女、二階堂和美、リスペクト。
こんなにココロに引っかかる何かを持った人をボクは知らない。

フカミマドカ(colla disc A&R) 2001年 
2012.06.13 15:47

『たねⅠ』アナログ・エディションが発売

2001年にリリースされたミニアルバム『たねⅠ』が、なぜか、11年の時を経て初アナログ化されることとなりました。

MYRD-34.jpg二階堂和美
『たねI 』(10インチ)
2012年07月25日発売
2,100円(税込)

2001年11月に発売されロングセラーの名盤、佳曲揃いの2ndアルバム(塚本優香プロデュース)に、2曲のボーナストラックを附しアナログ化。リマスタリングは中村宗一郎。

Side A
1.いくつもの花
2.たねI
3.夕方
4.5×9=45

Side-B
1.ショッピンブル
2.laugh point
3.ユートンズ・テーマ
4.夕方(ホニャ語ver.)
5.ショッピンブル(ホニャ語ver.)

http://diskunion.net/jp/ct/detail/IND9889

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レーベル元のディスクユニオンの担当の方から連絡があり、
「今更、なんでですか?」と尋ねたら
「アナログ化希望の声がありまして」とのこと。
「それ、ものすごい少数派でしょう?大丈夫ですか?」
「大丈夫です。」
「あれ、20分もないですよ。」
「10インチでいこうとおもいます。」
「にしても余りますよ。ボーナストラックトラックつけたほうがよくないですか?」
「つけるとしたら当時のものに限りだと思います。あれば是非」

ということで、探してみたものの、『またおとしましたよ』時代のものなら自分の機材で録音しているのでまだ少しはあるのですが、『たねⅠ』時代のものは手元にほとんど残っておらず、すでに収録されている2曲の、日本語詞が乗る前の"ホニャ語Ver."を追加収録することになりました。

当時は曲から先に作って、適当なでたらめの言語を乗っけて歌って録音も進めて、歌詞をつけるのは最後の最後、「やっぱりこの曲は歌詞があったほうがよさそうだ」と思った時だけつける、と、そんな作り方をしていたので、ホニャ語バージョンなるものが存在しました。ボーカルトラック以外のトラックは同じです。

アナログ化に際し、にかさやの『イピヤー』のマスタリングをしていただいた、ピースミュージックの中村宗一郎さんがリマスタリングをしてくださいました。
アナログとなって聞かせていただくのが楽しみです。

需要があるのか疑問ではありますが、こうして過去の作品に日を当てていただけるのは、ありがたいことだと思います。さすがディスクユニオン、と思いました。ちゃんとした会社で出しておくとこういうことがあるのですね。
確かに、2010年の『solo』へも収録したように、「いくつもの花」や「ショッピンブル」は今でもライブでもよく歌っている現役の曲です。
そもそもこのアルバムが当時ディスクユニオンのレーベルから発売されることになった経緯というのは、自主制作盤として持ち込んだところからでした。
塚本優香さんと二人でちまちま制作していた録音の日々も思い出深いです。この件で久しぶりに連絡を取り、思い出話に近況報告と長電話しました。

いろんな方にお世話になったものです。
渚十吾さん、キセルの辻村豪文くんが寄せてくれたコメントは現在もCDのオビに残っていますが、当時の宣伝フライヤーには他にもいろんな方からコメントをいただき、中でも特筆すべきはライターの岡村詩野さんががっつり推薦文を書いてくださったこと(こちら)。岡村さんには頭があがらない理由。岡村さんありがとうございます。

変えたつもりなどない歌い方ですが
こうして久しぶりに聞いてみると、ずいぶん変わってしまったものですね。
若いときの声というのは、出せないものです。

(二階堂和美)

2012.06.10 10:24
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