二階堂和美 nikaido kazumi

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つれづれにか vol.10

掲載:QUATTRO PRESS vol.57 / PARCO-CITY FLYER 2006 October

 コノノN°1のライブ(8月31日@広島クラブクアトロ)に行った。最高だった。あんなに終わるのが惜しいと思ったのはいったいいつぶりだっただろう。まだまだまだまだ身を委ねていたかった。それだけでよかった。最初は空いていた椅子に座っていたが、無理。座っていようとがんばっても座ってなどいられない。上半身で揺れたりしてみたところでもどかしいばかり。下半身をいてもたってもいられなくさせる音楽。まるでウォーキングマシンのように、足下の地面が勝手に動き始めてしまう感覚、とりあえずステップを踏まざるをえない。そのまま40分。音楽は止むことなく続き、踊らされ続ける。とにかく続く。とにかく・・・。曲の切れ目とかリズムの変わり目とかそんなことをまったく気にする必要もない一定のテンポで、前半1曲、後半1曲、アンコール1曲。派手な山場もないままキープされるグルーヴが、この上ない快感を呼び覚ます。とともにどこか親しみも感じる。彼らのリズムのハーモニーはもともと人間が体内に持ってる基本的なグルーヴなんじゃないか。そこに音を嵌められたら、そりゃもう抵抗できません。続く、というのはこういう事だと教わった気がした。それにしてもこちらはこんなに踊らされているというのに、リーダーのマワング氏(73才)は膝ひとつ動いてない。彫刻のような厳しい面持ちと立ち姿で、肩からかけたリケンベ(手作りの金属製親指ピアノ)を親指ではじき続ける。その姿に、私は頭を両側からかかえ「ギー!イヒヒ!カァッコイィーーー!!」と声をあげてしまい、はじめて若かりしビートルズのコンサートで絶叫していたギャルの気持ちを理解した。
 翌朝仏壇の前でお経をあげた後、外にでて、昨夜のあれはなんだったんだろうとふと思い起こして口ずさんた。その瞬間、コノノとお経が自分の中でリンクした。

ポスターにもらった、マワングさんのサイン
ポスターにもらった、マワングさんのサイン

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