二階堂和美 nikaido kazumi

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つれづれにか vol.44

掲載:QUATTRO PRESS vol.90 / PARCO-CITY FLYER 2009 October

イギリス/スコットランド ツアー 2006 日記 その18

4月25日(21日目)後編
 前回からの話、ロンドンの空港での珍事件の持ち越しです。空港で青柳さんと別行動をとったちょっとの隙に、油断して飛行機に乗り遅れてしまった私は、明日の便まで待たされることになり、女性職員さんの誘導でどこかに連行されていた。歩きながらふと、荷物を二人分一緒に預けてその引換券を私が持っていることに気づく。先に到着する青柳さんは、この荷物を受け取れるのか?前をゆくそのおばちゃん職員に尋ねる。すると突然血相を変えて通信を取り始めた。というのが前回までのあらすじ。なにやら周囲が騒々しくなってきた。おばちゃんの他にも何人か集まってきた。荷物の数は?中身は?連れの人との関係は?どこで会ったのか?何しにイギリスに来たのか?仕事は?しかし英語の不得意な私にはほとんど聞き取れないし答えられない。トイレに行ってお金数えておみやげ物を見ていたなんてできれば言いたくない。相手はそんな私にいらついている。いったい何が起こっているというのだ?連れが荷物を受け取るのがそんなに難しいのか?しどろもどろに尋ねたら「そういう問題ではないのよ、あなたのしたことは」。ちょっと母親的な「もー、この子は・・・」という情も感じるおばちゃん職員の返答。あちこちに連れて行かれてワタワタして数十分、ようやく日本人職員登場。美人。笑顔。あれ?どんだけ怒られるのかと思っていたら、意外と優しく対応される。この挙動不審の日本人にあきれ半分、同情半分なれども、一応お客として扱われた。質問の再確認。どうやら、私と青柳さんは今日会った見知らぬ者同士ということになっていたり、双方の答えた荷物の数や内容に食い違いがあったらしく、事をややこしくしていた模様。「こちらへどうぞ」と案内されるまま進むとそこは機内。日本人らしき人がたくさん乗っている。今度はどこに連れて行かれるのだろうと思っていたら青柳さんの顔が。へ??なんで???うわーやったー、なんか知らんが乗れた~。
 これ、私が乗り遅れた飛行機そのものが戻ってきてる状況。狐につままれた感覚。青柳さんの顔は若干こわばっていた。機内では「荷物の数の点検のため遅れましたが、確認がとれましたのでまもなく離陸します」とのアナウンス。他にも立ち歩いている人がおり、後から乗ってきた私もさほど怪しまれず、遅れた原因張本人とは気づかれぬまま飛行機は離陸した。先ほどの女性職員さんが現れ、どこやらのブラックリスト乗ってしまったので、同じことをもう一度しないように、と小声で忠告してくれた。いやその、同じことって何ですか?なんで飛行機戻ってきたんですか?要は、荷物だけ預けて乗らないとか、人の名前で荷物を預けるとか、これはテロの手口。私はテロ組織の疑いでブラックリストに載ってしまった。思えば地下鉄テロから半年あまりのロンドン。厳しいはずでした。興味本位にもっと話が聞きたかったが、人目を気にしてそのくらいに。皆さんも乗り遅れにはどうぞお気をつけて!というところで1年半の長きにわたって連載させてもらいましたこのスコットランドツアー日記も今回でおしまいです。おつきあいありがとうございました!またどこかでお目にかかりましょう。二階堂和美でした。

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