二階堂和美 nikaido kazumi

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つれづれにか vol.7

掲載:QUATTRO PRESS vol.54

 テレビを見る、というのは私にとっては非常に余裕を感じる行為である。
 遅ればせながら中島哲也監督の映画「下妻物語」をテレビの放送で見た。これが、録画して、あとから見ようと思っていたのだが、途中ちょっと偵察のつもりでつけてしまったらもう最後、一瞬で引き込まれてしまった。やっぱり人は誰しもヤンキーに憧れがあるんでしょうか?土屋アンナさんの声の枯れ具合がすばらしい。結局ビデオで2回見てしまった。一気に少女時代に引き戻された気がして、してやられた感じがした。などとヤンキー文化について語りたい気持ちを抑えて一応私も音楽家なのでその前の週に放送されたドラマ「ザ・ヒットパレード~芸能界を変えた男・渡辺晋物語~」の話も。戦後の芸能界・テレビ界の歴史を辿る話。実在人物をモデルにしたドラマには期待はずれとなることは覚悟しつつも、興味はむしょうにそそられるものだ。配役にいちゃもんをつけ、自分なら誰を選ぶか考えるのは楽しい。ドラマを見た後、当然本物を確認したくなって、正月に放送された植木等さんの特集番組を見た。植木等さんは顔も好みだし芸もすばらしいし私と同じく浄土真宗のお寺に生まれていることもたたみかけて、とても気になる存在だ。大ヒット曲「スーダラ節」をレコーディングするにあたり、その「いいかげん」な歌詞に抵抗を感じた植木は、住職である父親に相談する。父は「『わかっちゃいるけどやめられない』?や!これこそわが宗祖、親鸞聖人の生き様そのものだ!」といって後押しをしたという。とても胸に残るエピソードだった。もうひとつ印象的だったのは、少年時代から今までずっと、とにかくなぜか、女にモテ続けてきたという話を自分でおもしろがってしていた姿。モテることをモテると言い切るかっこよさ!

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