二階堂和美 nikaido kazumi

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つれづれにか vol.32

掲載:QUATTRO PRESS vol.78 / PARCO-CITY FLYER 2008 October

イギリス/スコットランド ツアー 2006 日記 その6

4月11日(7日目)
 Dunfermlineのカーネギーホールという立派な会場。お客さんの年齢層も高め。昨日ダグラスがおもちゃで音の出るマシンをくれたのでリハで試したがやめて、客席後方からマイクなしで歌いながら入ることにした。実験的ということを昨日一昨日考えてきたが、浅はかに考えたくらいでは他の人たちと似た感じになってしまう。このメンバーであえてポピュラーな感じ、親切な感じをやることを実験とこじつけてみる。よりお客さんとのコミュニケーションを図る努力を今の自分の実験としたい。ピアフのカバーなどが歓声を受けた。夜テニスの部屋に行ったら反省会をしていた。問題意識は私とは違っていた。

4月12日(8日目)
Glasgow 雨。グラスゴーでのライブ。朝ホテルの前へBillのお父さんが現れ、皆に折りたたみ傘をくれる。一瞬家族が恋しくなる。会場はCCAというアートセンターのようなところ。久しぶりの都会、お客さんの多くもアーティスト。この日はテニスコーツの二人やBillに参加してもらった。丁寧に演奏した。客席の反応からも、うまくいった手応えがあった。このメンツだと新しいアルバム(『二階堂和美のアルバム』)の曲をやると違和感があるのは、あれらはやはり国内に意識をおいたポップスなのだと思った。なんとなくエンタテインメント的パフォーマンスをばかにされてるような被害妄想もあって居心地が悪かったが、意地を張らずにやってみたら楽になった。実験的というツアータイトルに触れ、いろいろ屁理屈を考えたりしたけど、この言葉はアカデミックな言葉なんじゃないか。そういう素養のない私にとってはあまり意識する必要も意味もなさそうだと思った。

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