二階堂和美 nikaido kazumi

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つれづれにか vol.31

掲載:QUATTRO PRESS vol.77 / PARCO-CITY FLYER 2008 September

イギリス/スコットランド ツアー 2006 日記 その5

4月10日
 新しい街、falkirk。早朝起きて、部屋の窓からの眺めを見て異国を感じる。グラスゴーに近く、数日間滞在してここからあちこち動く様子。昨晩餐で、このカウンシルには私たちの他にもう一組の候補があがっていて、私たちの方がより実験的ということで選ばれたらしいことを聞く。そうか、私たちは実験的なパフォーマーとして来ているのか。はじめて使命を知った。それならば明日からのライブは即興でやってみようかと思う(っていう発想が安直)。朝飯前、ベッドでレコーダーをまわしてみる。朝食。ブラック・プディングがあって運転手のジョンが何かを教えてくれぬまま食べろ食べろとしつこく言うので試してみる。まずくはないがおいしくもない。豚の血のソーセージ。インターネットをしに図書館へ。中世のようなクラシカルな建物も中は意外と近代的施設。カトリーナにジュリーがきたらしい。2週間裁判を見学しないといけないという制度。一生のうちにいつくるかわからないらしい。それは報酬が出るらしいが、仕事やらを有無を言わさず休まなければならないらしい。手紙で通知がくるらしい。カトリーナにそれが今日来たらしい。グラスゴーへの道のりでは青柳さんとトーク。外国どこに住みたいか、など。私にはシチリアがよいかもと言われた。行ったことがない。今のところ外国に住みたいとはあまり思わない。昨晩の”実験的”の話を持ち出し、即興は怠けている感じがする、という私の発言の後、何も返ってこなくなり会話が終了してちょっと気まずいと勝手に気にする。グラスゴーの街に入った。建物がつながっているところが多い。パステルズのスティーブンとカトリーナと初対面。なんとなく緊張。monoへ向かう。スティーブンがやっているCDショップとベジタリアンレストランがあるグラスゴーの音楽シーンの中心スポットみたい。私以外の皆には馴染みのグラスゴー、私は初めて訪れるし、過去にもここらへんの音楽に影響を受けてこなかったのでなんかちょっと居場所が見つけられない感じ。事前に約束していた日本のラジオ番組へ電話での生出演。ちょうど疎外感があるときに日本から応援されている感じも奇妙でバランスがとりにくく、もやもやする。そのあとのリハでもずっとそれを感じていたが、青柳さんのマイペースぷりを見習おうと思う。部屋に戻ってしょうもないドラマを見たら少し気がまぎれた。多分ライブをやったら気が晴れる。ドラマはマジカルな料理を作る女の子と恋に落ちる男の子との話でその乙女チックな感じが今はちょうど良かった。
ポットこっちのポットは軽くて気軽で速くて(それは電圧の問題かな)単純でとてもいいと思うが、なぜこんなにコードが短いのか、謎。コンセントの位置からだと床に置くしかない(このツアーの1年後くらいから日本のホームセンターでも見かけるようになった。絵参照)。明日monoであふりらんぽのライブがあるらしい。自分たちも明日他の場所でライブで、会えないのが残念。こんな外国でこんな近くでこんな身近な日本人がライブする日が重なるなんて変な気がするがそうでもないのかよくわからない。

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