二階堂和美 nikaido kazumi

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つれづれにか vol.17

掲載:QUATTRO PRESS vol.63 / PARCO-CITY FLYER 2007 June

 一番好きな季節、夏至に向けだんだんと日が長くなるこの頃。少しずつ服が薄くなって体も軽くなり、オールナイト・イベントへもなんとなく行ってみようかなという気持ちになったり。夜中じゅう外にいても過ごせる生ぬるい風の中で、おやおや、酔い醒ましとかなんとかいいながら、新しい恋が始まったりしてるんじゃないでしょうか。いいねー。
夏至 人のことを「冷たい人」とか「あったかい心」とかいう表現をするけれど、これはもちろん実際の体温なわけじゃないのだし、その根源はやっぱり季節と関係しているんじゃないかと勝手に考えている。この夏至の頃のゆるんだ肌、薄着になることでやっぱりなんとなく、自他共に色めきたつ気持ちにもなり、体も軽いし陽も長いから行動力もあって、いろんな人と関わりを持ったり、まあついつい関係も進行しすぎたり。そんな夏がおわって秋。気温が下がると服を一枚羽織るように、人との間にも一枚、二枚、隔たりと防御を重ねて、冬。さらに体は何重にも覆われ、寒いし重いし動きたくないし、心身共に冬眠。そしてまた春、芽吹く。人間も植物と同じっぽい、と思う。
 日本の一年のスタートが春でよかったと思う。始まった時点から暗くなっていくよりは、とりあえずは明るくなっていく方がいい。免疫が育った頃に暗くしてもらえば少しは対応出来そうな。暗くなってもどうせまた明るくなる。そうして季節は巡る。人の気持ちも巡る。同じ事を繰り返していく。うまくいくことも失敗も、繰り返していく。感情の変化を季節のせいにするのは若干強引。だけどそういえば、去年くらいから私にはこの法則が通用しなくなってきた。
 あれ?ハイ、この理屈、最初にふりだし~。こうして思考は巡り、繰り返されていく。

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