二階堂和美 nikaido kazumi

diary

2009.02.10

ツアー終わりました!

ニカセトラのツアー、全15カ所、終了しました。
来てくださったみなさん ほんとに、ほんとに、ありがとうございました!!
それぞれの土地で、お店の方、スタッフさん、そして集まってくださったお客さん
いろんな人に出会えたことがなんとも有り難くて
これまでもツアーはしていたけれど、一人のワンマンで回らせてもらったのは始めてで
それはやっぱり特別のものだった。
それゆえの緊張感もあったけれど
回を重ねるにつれ、気持ちは高まり
最終日のイワト、始まるなり、まだ歌ってもいないのに、感極まってしまった
これで、このセットでやれるのも最後だ、と思ったら まるで卒業式みたいな気持ちがした
このセットリストは、このツアーでしかできないので
 
「距離の近い人たちへ」 という名前を思いついてくれたのは、
ニカセトラのアナログを出してくれたカクバリズムの代表、カクバリくんで
やっていくにつれ、ぴったりのネーミングだったなと思った
私は名前をつけるのが苦手で
イベント名でも、ツアー名でも、曲名でも、アルバム名でも
だけど名前から内容ができあがっていく と常々感じていて
だからとっても重要
「ニカセトラ」 は 自分でつけた
人によりけり と思うけれど、どうも私は、形から中身が作られていく質で
たとえば衣装
 
今回は靴を履いた。
年内は少しだけかかとのある革靴
年が明けてからはハイヒール
なんでハイヒールにしようと思ったんだっけ
鏡の前で、衣装を着てみていて、その衣装に合う靴がそれだった
それだった、なんて断言してみたって、私がそう思っただけだが。
家の部屋の中で、ハイヒールを履いて予定の曲目を歌ってみたら
すごく調子よく歌えた
ためしにハイヒールを脱いでみたら
なんか緊張感のない声になった
それはそれでいいときもある
けれど、今回わたしは緊張感のあるほうでやってみたかった
 
いつものPAのトキちゃんが合わせてくれるマイクの高さがずれた
 
富山の会場では、お客さんは靴をぬいで座っているのに
わたしは履いている
これまでと逆だなあと思いながら
 
北海道の時計台だけは、木製のステージがあまりにも靴音を響かせるので
途中で脱いだ
 
音が気になったと言えば
京都のソールカフェでは、リハーサルの時には全く気がつかなかった時計の音が
ものすごく大きく聞こえ
そのカウントに「時が流れても」の自分の拍がわからなくなって、
曲が終わった後、のけてもらった
 
京都のもう一カ所、ザンパノで、
ライブ後、
メニューの字が異様に小さいことを指摘したら
店主の”にいやん”は 自信がないんよ といってたけれど
ものっすごいおいしい
おすすめは何かと聞かれても困るという話になり、
自分としてはすべておすすめのつもりで出している、と。
それはCDの物販で時々出くわすやりとりと同じと思った
自分はおいしいと思って出しているけれども その人が今何を欲しているかによるよね
という話
自信がないというのはちょっとまあ言葉のあやだと思う
でも、その人にとっての好き嫌いがあって当然で、
ある人にはよくても、ある人にはよくないので
それに、もっといいものを追求する気持ちも常に持っているわけで
そういうときの自信と、引き具合は、自分にどう説明したらいいのかしら
  
いつでもござれ で いたいなあと思うけれど
現実にそういようと思うと なかなかたいへん
リクエスト大会 みたいなコーナーを設けてみたりしましたが
とっさにはできない曲も出てきて
それでも無理矢理、すべてのリクエストに応えさせてもらいました
コードや歌詞を忘れていて、スムーズにやれない曲もあって、ごめんなさい
最初からやるつもりにしている曲でさえ、スムーズにやれないのもあって、失礼しました
だけれども あのコーナーは楽しかったです
場所場所で、いただくリクエストがちがって、おもしろかったなあ
意外と古い曲、一度しかやったことのない曲などをリクエストくださる方も多く
自分のことを知ってくれているのだな、という実感が、ほんとうに私を嬉しくさせた
ほんとに有り難いなあと思って もったいない気持ちがした
 
金沢なんて、ほんとに初めて行く土地だったのに あんなに盛り上がってくれて感激
 
大阪のマーサ、名古屋のK.D.ハポンはたくさんリクエストもらって、
ついつい全部やってしまって
長丁場によくつきあってくれたね~~重ね重ねありがとう。
 
後半のセットは、ほとんど一緒だったのです、所々入れ替えたりしていたけれど
いくつもの花 と 日暮れ道 の順序
雪の降る街を と レールのその向こう の順序
これは何度も入れ替えながらやっていた
不思議なくらい、順序によって、曲にこもる感情が変わるのです
こめすぎやろ、と自分で自嘲する気持ちも湧かないわけではないですが
そこは、ちあきなおみさんを念頭に浮かべて、ふんばる
自分がしらけた時 見ている人はとっくにしらけているだろう
かといって、こちらもほどほどなほうが持続しやすいこともある
 
ハイヒールを履くのは、持続しやすくする効果もあった
でも最終日のイワトでは、立っているだけだったのに、足がしびれた
何の持続なんだっけな
集中力 かな
  
「あんたは縦の線がねじれるね」と、高校生の頃、書道の先生に言われたことが
よく頭をかすめる
 
身体も、縦の線が傾かない方が、声もよれない
だからマイクとの距離を手を動かして調整する方が 声がよれない
けれどギターで両手がふさがっているときは、
マイクとの距離は身体を動かして調整するしかない
身体を動かしたくないときは、身体の内側を動かして調節するしかない
プラス、PAさんとのチームプレイ
結局外に出ている音、お客さんに聞いてもらう音は、私自身は聞くことはできない
けれど自分が気持ちよく聞こえていると、つるつると声がひきだされる
聞こえ方によって声がかわる
衣装によって 振る舞い方も変わる
靴によって 歩き方も変わる
照明によって、ムードも変わる
ムードが変われば未来は変わる
形から、中身はつくられていく
と 思う という話
は、つきない
 
ツアーは、お店によって機材も、いじる人も、鳴り方も、いすの配置も、照明も、気温も
もちろんお客さんが すべてちがう。
リハーサルの時間をたくさんとらせてもらった その空間に慣れるため
その空間での自分の出す音の感触を確かめたい
それによって合う曲、合う歌い方を見つけたい
本番は お客さんがいて、また全然変わっている
おもしろいねえ
全然違うんだもんね
些細なことですけどね それを試させてもらえているなんて 贅沢
でもお客さんが、ステージを作っている ほんとに
求められてもなかったら、やる意味がわからなくなる
さっさと引っ込みたくなる
みなさんの時間を、貴重な時間を私に与えてもらっている
その時間は二度と返らない一瞬一瞬なのに
どうもありがとう。
お預かりします!
という気持ちがした
お預かりした時間に、中身を詰めてお返しできただろうか
終わった後 直接お話しできるのが、ものすごく励みになる
中には、私がそこにいても見向きもせずお帰りになる方もいらっしゃる
期待はずれだったのかしら・・・お悪うございました・・・とがっくりする
けれど、簡単に言葉や態度に出されない方もあったのかもしれない
距離の近い人たちに、いろいろ教わった
ああ 今もう一回 ツアーに出たいな
ツアーを続けている人たちの気持ちがすこしわかった
だけどしばらく辛抱して
そうして、いつかまた、ツアーに出たいと思います
本当にどうもありがとう。
また会える日まで
どうぞごきげんよう。