つれづれにかvol.24

きてるよー 2008年。あるいは平成20年。なんとも割り切りやすそうな数字が並んでいること。それにちなんで本年は、なるべく素直にスパスパいってみたいものです。
 お年賀状で私が楽しみなのは実は宛名で、自分の名前を直筆で書いてもらっているのが嬉しい。自分の名前は自分の字で書いたものが一番見慣れているので、ドラえもんで言えば、藤子不二夫氏の描くオリジナルがそれ。他の人が書いてくれた自分の名前というのは、似顔絵的あるいはアレンジされたカバーソングのようなもので、新鮮な感じがする。へえ、この人は「階」という字をこう書くんだ。へえ、この人はここをはらうんだ、ここを止めるんだ、こっちを長くするんだー、などなど興味深い。筆圧やスピードなど、字というのは意外と人をよく表すと思う。私などはこのところどんどん雑になっていって、送付物に添える一筆など、我ながらどうしてこんなに汚げに書いてしまうのだろうかと嫌気がさし、何度か書き直したりするのだが、それでもあまり変わらない。どうしてかと考えるに、どうも口で話すペースに手が付いて行きたがるのだろうと思う。その証拠に、宛名を書くときは、速る気持ちが無いので割と丁寧に書くことが出来る。本文はどうしても、頭で繰り出していく言葉を少しでも同時進行で書き留めようとするから、ついついペンが走ってしまう。でも一発目の原稿は考えながらなので、途中で次の言葉を選ぶ間があったりして、字のリズムが途中で中断され、大きさや字間、インクの濃さが変わったりする。書き終わって眺めると、なんだかバラバラして汚いから、と清書する。でも清書したらしたで、どうもスラスラ筆圧が軽く、セリフっぽくて味も信憑性もない。で、もう一回、はじめて書くかのような気持ちで3回目の清書をする。
ムフフ 考えてみれば私が歌を歌う時も、その3回目の清書の心がけと似ている。歌詞はもう決まっていて、これまで何回も歌っている。けれど、まるでその時その言葉が頭に浮かんで、口にはじめて乗っかったかような気持ちでその歌詞を繰り出す。そんな気持ちで歌っています。

掲載:QUATTRO PRESS vol.70 / PARCO-CITY FLYER 2008 February
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